ベロニには、666人の人間と3人の悪魔が住んでいます。 悪魔はすごいので、どんな道にも迷わないし、夜におかしを食べても太りません。
residents
青い方がロナウドで、ピンクの方がミケランジェロ。瓜二つの他人です。 「パーリナイ」はスローガン。 ロナウドはマイペースで夢見がち、ミケランジェロはシニカルで現実主義。 ダンスが趣味で、エルヴィス・プレスリーとストレイキャッツに傾倒しています。 好物はちまき。一日三食365日食べても飽きません。 市場通り9丁目の自宅には、「限りなく悪魔に近い人間」の賞状が飾ってあります。
好奇心旺盛で怖いもの知らずな、14歳の女の子。日本からやって来ました。 どしゃ降りの夜に家出をしたところ、冠水したマンホールに落ちてしまい、ベロニの下水口へと流れ着きました。 いまは、中央図書館でノーシンの手伝いをしながら、居候しています。 愛用の釘バットは、高い所のものをとったり、背中をかいたりするのに使います。 将来の夢はまだありませんが、いつかスカボロー・フェアに行きたいと思っています。
ベロニに住む悪魔の一人。中央図書館の館長で、ベロニの町長でもあります。 たくさんの人の脳みそをすすって、知識を吸収してきたので、この世にノーシンが知らないことはありません。 普段は図書館の地下に引きこもって、一人で夢野久作の研究をしていますが、いろんな音とお話ができるから、結構にぎやかです。 研究に夢中で、メモを取るのに自分の羽毛を抜いてペン代わりに使っていたら、翼と尾羽以外の羽がなくなってしまいました。
ヒトリ墓地の墓守悪魔。 いわゆる一匹狼ですが、存外優しいし、猫背です。 100年ぽっちも生きれない人間の安らかな眠りのために、毎日血まみれで働いているものの、ガスはといえば、コーヒーの飲み過ぎで不眠症です。 ふた月に一度は、街まで降りて、市場通り中の豆を買い占めていきます。 満月の日は、なぜだか一日中小屋に閉じこもってしまい、誰にも会ってくれません。
ベロニを廻る水路で、渡し船をしている船頭さん。運賃不要、雷の日は休業日。 釣りが得意で、獲れた魚は安値で売ってくれます。サキちゃんがベロニに流れ着いたときも、下水口で糸を垂らしていたら、偶然かかりました。 下水口の通路にテントを張って、そこに住んでいます。 あんまり無口なので、街の誰も、サライさんの声を知りません。声帯はあるのかと、ドクに解剖されかけたことがあります。
市場通りで占いを営む悪魔。セクシーでミステリアスなお姉さんです。 お店は裏路地に構えられていて、お客さんがいない時は、ブラウン管で安っぽいメロドラマを観ています。 お代は、お金じゃなくてアルコール。いちばん好きなのは、スピリタスのロックです。魂の味に近いとか、そうでもないとか。 ミスターと契約を交わしていますが、人間のくせに生意気なので気に入っていません。もっと悪魔を敬え。
おばけ廃墟のマッドドクター。頭のネジは、自分で外しました。 街いちばんのお医者さんを探して、今日もたくさんの患者が、廃墟迷路をさまよっています。なんてったって診療所は、開院日も診察料金も、ドクの気分次第。 悪いところも良いところも、なんだって治せます。 偏食で、甘いお菓子しか食べられません。野菜の匂いを嗅いだだけで、アナフィラキシーショックを起こします。
ドクの診療所で働くキメラ看護師。人間のアリスと宇宙人のジョナサンでできています。 べつべつに死にかけだった二人を、ドクが結合しました。アリスは勉強が趣味、ジョナサンはアカデミック気質です。 視覚以外を共有しているので、考えていることや感じていることがお互いにわかります。栄養も二人で分け合っているので、アリスは成長が止まってしまいました。 料理が大の苦手。自分で作ったものを食べて気絶しちゃいます。
ドクの患者兼診療所のアルバイト。 治療代が払えないので、代わりに診療所の手伝いをしながら通院しています。 カラダは女の子で、ココロは男の子。どっちのコブもコブだから、カッコいいものを見ると女の子に、カワいいものを見ると男の子に変わります。 トーキョー団地からおばけ廃墟へ通っていて、診療所には勘で辿り着いています。 ちなみに、通院理由はアトピー。いかしたロックが安定剤です。
ミスターが造った、人工生命体の兄弟。シロイが兄で、クロイが弟です。 それぞれレシピの途中で、加熱時間と体液分量を間違えて、肌荒れと汗っかきにできあがりました。 なんでもキレイにしちゃう掃除屋さんで、ベロニには、T-283とミドリのお片づけのためにやって来ました。 警視庁に巣を作って、根城にしています。 前にお墓を荒らして、地獄の底まで叱られてから、ガスが怖いみたい。
シロイとクロイのお父さん。 名前も顔もナイショでヒミツの、正義のヒーローです。 むかしは人間でしたが、チュチュと契約をして、不老不死にしてもらいました。 造りかけだったT-283を、ミドリに盗まれてしまったので、2人を探しています。 お仕事が忙しくて、ベロニには来られないそうです。 生まれたときからワガママすぎて、こんなに長く生きているのに、友だちが1人もいません。
アンドロイドの女の子と、ヒューマンのお兄ちゃん。この顔にピンときたら、お知らせください。 T-283はソーラー電池式で、1日2時間、日光浴が必要です。 ほとんどのパーツが人工物ですが、心臓だけは本物。 ミドリがベロニへ来たのは、友だちに会うためだとか。毎日、街中の壁のすきまや石のうらを探しています。 実はノーシンに隠れて、中央図書館の分冊百科付録をこっそり組立てています。